2020年12月6日日曜日

人生を良くしたい人  人生を超え、解脱したい人

 自分がスピリチュアルだと自覚している人の中には、

ごくおおまかに言って、

2つの段階の人がいます


ひとつは、自分の人生をより良いものにする事に関心がある段階です

この場合の「自己実現」とは、

人間存在としての固有の自分を完成させる事を意味しています

これが、現在のスピリチュアルなシーンの大部分を占める人たちの段階です


もうひとつは、

人生を超え、この「人生」というストーリーそのものから解脱する事に関心がある段階です

この場合の「自己実現」とは、

人間存在としての固有の自分を超え、魂も超え、

神なるものとの一体に到達することによって、

霊的進化を完成させる事を意味しています

本当にこの段階に来ている人は、そう多くはありません


「本当の自分自身に出会う」という言葉を聞いて、

あなたはどういうイメージを抱きますか?


ひとつは、

「その人固有の花を咲かせる」

今、自分だと思っている一人の、

固有の名前と肉体と個性を持った存在が、

よりその固有さを表し、それを生かし、生き生きと個性的に、輝いて生きる

平凡な自分が、特別な自分に変わっていく

自分の人生の本当の意味を見出す


もうひとつは、

「何者でもなくなっていく」

「そこに自分はいなくなり、ただ神なる者だけが存在している」

本当の自分自身に近づけば近づくほど、

自分は透明になり、

そこには神の神聖さと愛と全体性がより現れて来る

人生とは映画のようなスクリーンに映し出される幻想であり、

本当の生はそれを超えたところにある


この2つの段階は、

どちらがいいとか悪いとかではなく、

どちらも正しく、どちらも重要で、

ただ、

その魂がどの段階にいるかを表しているだけです


ですが、

真の意味において、

人生を超えた時初めて、人生を生きることができます


どうしてでしょうか?


答えは簡単です

その意識の状態をよく考えてみればわかります


あなたが人生の意味を探究し、

それをより良いものにしていきたいと思う時、

あなたは固有のあなたとそのストーリーに固着し続けます


固着し続ける以上、

あなたはあなたの人生や固有のあなたそのものに支配され続け、

それを超えることはできません


もしかすると、

あなたは自分が一般的なスピリチュアルではない人とは違う、と思っているかもしれません


でも、意識の構造は同じままです


幸せになるための手段が、

物質的なことではなく、スピリチュアルなことに変わっただけです


無条件な幸福や喜び、愛と言いつつ、

ポジティブなことや光の側だけを良しとし、得ようとしている以上、

それは無条件では全くありません


固有のあなたやその人生との固着が外れ、

それを超えた時初めて、

あなたはそれに支配されずに、

ただ「あなた」として生きることができます


それは、

あなたの意識の構造が完全に変容するということです

意識の次元が完全に異なるという言い方もできます


それは、

固有のあなたが完全に滅することでも、

人生がなくなる訳でもありません


でも、

そこに意味を見出すことそのものが落ちます


なぜなら、

「あなた」は人生をはるかに超えたものだからです


それが、解脱です


本当の自分に出会うためには、

どこかの段階で、

自分を完全に手放し、明け渡すことが必要です


真の覚者がよく言うように、

自分が一度完全に死ななければならないのです


でも、そのためには、

今の自分を完成させ、完結するか、

絶望し切るか、

どちらかが必要になってくるでしょう


完結した時に、それでもなおまだ満たされ切らないものが残っている事に気づけた魂は、

それを超えようとします


絶望した時は、

もう、超えるしか道はないことがわかります


どちらを選ぶかは、

魂次第なのでしょう


でも、

絶望の方が、よりダイレクトに早く、超える道を進むことができるでしょう

他にもはや手段がないからです


固有のあなたや人生に固着し、それを探究し続けると、

「まだ、他に何とかなる方法があるんじゃないか?」と、

「もっと満たされる何かを引き寄せることができるんじゃないか?創造することができるんじゃないか?」と、

そこから出ようとせずに、

そこで彷徨い続ける可能性が大きくなります

それほどに、

そこの引力は強いからです


引き寄せたり、自分が得たり、

いずれも、自分の中に何か他の物を取り込もうとする意識自体が、

良いものだけ、波動の高いものだけを手に入れようとする意識自体が、

固有のあなたを強化し、肥大化させ、

あなたを地上に留めさせる重しになります


逆です

自分自身を手放すのです


なので、

もし、今絶望を体験している人がいれば、

それはむしろより深い段階にいるという事なのです

超えたいという魂の欲求が強くなっているという事なのです


本当の自分自身に出会う、

より深い段階に来ているという事なのです


それが本当の発心です


「トータル・パス」は、

その発心が起こった人のための教えです


それは、真の意味で人生をリアル(本物)にしていくものですが、

人生をより良くすることに関心のある人の心は惹きつけないかもしれません


なぜなら、

楽しい夢から覚めないとならないからです


まさに、

今、世界的な社会現象になっている「鬼滅の刃」の映画の中の、

「楽しい夢から覚めるために、夢の中で自分を殺す」

と重なりますね


実際は、殺すのはちょっと違いますが、

夢の中の自分が死なないとならない


そう考えると、

なぜあの映画がこの時期に世界的社会現象になっているのか、

理解できるような気がします


それは、

あるがままの現実の中で生きることも描き出しています


自分自身がその現実を創造しているというのは、

とても深い理解で、

そこから今のポジティブスピリチュアルムーブメントが発生していますし、

多くの人により幸せに生きて欲しいという愛がベースにあります


なので、

私はそれらを否定している訳ではなく、

むしろ、多くの人にとっては非常に重要で必要なものだと思っています


ただ、

真に「自分自身が創造している」という理解の次元に到達した時、

ネガティブなものもポジティブなものも実は自分が創っていたと本当にわかった時、

そしてつまりは、

自分自身がその創造されたものをはるかに超えたものだとわかった時、

あなたはまだポジティブなものだけを創造することに関心を持つでしょうか?


それを楽しむことはできるでしょう


でも、

創造の内容に固着すること、それと自己同一することはすっぽり落ちてしまうのです


誰しもが本当は、

ネガティブポジティブ、

つまり陰陽のこの次元、

この二元の世界をはるかに超えた存在なのです


それを知ることは、

思い通りの人生を創造することより、

はるかにパワフルで、

はるかに満ち溢れ、

はるかに大きな歓びなのです


それを知るものは、

そこへと誘いたいと思うのではないでしょうか


あなたの魂は、

どこを望んでいますか?





















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